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目が覚めたら。
第7章 鬼畜帝王が暴走しました。
 


 上から覆い被さり、あたしの両手を頭上で縫い止め……逃げ道を塞いだハル兄。


「はっ……ふ、んんっ……」


 なされたキスは、一度ですぐ終わるものではなかった。


 最初は啄む様に軽く頻繁に。


 やがて熱く乱れた息を吐くと、貪るかのようの荒々しさで、性急に何度も角度を変えてその唇が押しつけられた。

 上唇、下唇……共に歯や肉厚な唇で食まれ、唾液たっぷりに舐められ、強く吸われる。


 飲み込まれていく。

 蝕まれていく――。


 苦しくて薄く目をあけたら、そこには目を伏せて苦悶しているようなハル兄の顔があり、長い睫毛がぴくぴく動いていた。


 ああ、こんなに近くにハル兄がいる。

 あたしの好きなあの顔で、こんな艶めいてあたしにキスをしている。


 きゅんとした。


 錯覚してしまうじゃないか。



 ……あたしは、オンナとしてハル兄から愛されているって。

 体以上のものを、凄く求められているって。


 ひと度そう思ってしまったら。

 それが本当では無いと、心のどこかでわかってはいるのに。


 それだけであたしの体は――


「波……瑠……っ」


 歓喜に震え上がった。


「波瑠……ぅ」


 キスの合間に自然と出るのは、ハル兄を求める甘ったるい声。


 ハル兄がぶるりと震え、あたしを持ち上げるようにして背に手を回すと、ぎゅっとあたしを抱きしめ……あたし達は何度もキスを交わし合いながら、強く体を絡ませ合う。



 あたし達の距離は……ゼロになった――。

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