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目が覚めたら。
第7章 鬼畜帝王が暴走しました。
 

 あたしの中では佐伯波瑠は最低の男で、だけどいつでも頼もしい男で。


 そんなハル兄にとってあたしは、いつまでも手のかかる子供でしかなかったから。12年後はその上で、愛を介在しない体の関係が新たに築かれたと思っていたから。



 どんな理由があるにしても、体だけにしないことがハル兄の誠意だとするのなら、あたしが"特別"だからと、自惚れてていいのだろうか。


 特別だから、あたしは……医療行為なしでも、ハル兄と抱き合える。抱き合いたいと思う権利がある……そう思ってもいい?


――俺のすべてをさらけ出してでも、俺の信条覆してでも……お前と深く愛し合う口実が欲しい。


 それがハル兄が口実を求めた理由だと、思い込んでいい?



 それはまるで――



「俺達は、"両想い"の"恋人"なんだからな」



 正当なる免罪符を持つ、恋人のように。




 "両想い"



 誘惑めきながらもどこか哀切な声音が、あたしの思考を独占していく。

 

 もしもあたしが、ハル兄から愛されているのだとすれば。

 誰もが求め、誰のものにもならずにいた帝王が、我武者羅にその身ひとつだけであたしを愛してくれるというのなら。


 ……きっと、とても幸せだね。

 あたしこそが、女の敵だね。

 

 そんな幸せ、夢見させてくれるの?

 それに甘んじてもいいの?



「波瑠……っ」




 だから、あたしは――。

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