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目が覚めたら。
第7章 鬼畜帝王が暴走しました。

 魅入られたように頷き、ハル兄の首に両手を回した。

 ハル兄はあたしの背中に手を回し、ぎゅっと力強く抱きしめてくる。


 直に触れあうハル兄の体は汗ばみ、とても熱くて……気持ちがよかった。

 肌が、匂いが……愛おしいと思った。



「俺の心は、お前にやるからな。拒否するなよ……静流」



 揺れるその瞳は切なげで、見ているだけで胸が絞られる。




 やばいよ、本当にやばい。


 本当に愛されているような気になってきちゃったよ。


 鬼畜帝王が欲しくて仕方がないよ。

 あたしだけのものにしたくなったよ。


 ぎゅっとされると、優しく髪をなでられると。

 ハル兄の逞しい体に包まれていると。


 その吐息交じりの艶めいた声を聞いていると。


 ハル兄の存在その全てが、あたしの思考をぐちゃぐちゃにしてしまう。



 ああ、泣きたい。

 たまらなく泣きたいよ。


 言葉にならないこの感情の正体を教えてよ。




「静流……お前は、俺が好きでたまらねぇ。そして俺も、お前が好きでたまらねぇ。これは……心からの合意だ」



 "好き"


 それが正解なのか不正解なのかはよくわからない。

 だけど今、それはすんなり受容出来るものだった。


 体の衝動から出た時とは違う、自然に吐露される言葉の気がした。



 そして――。



 あたしの中に迸る激情が、今ひとつの形を得た。



 "好き"

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