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目が覚めたら。
第7章 鬼畜帝王が暴走しました。
帝王の姿を百獣の王ライオンに例えるのなら、今のハル兄は……王者の風格を際立たせる立派なたてがみを刈られている、猫だ。
シャーと牙を剥き出しにはしているものの、恐いと言うよりは……おいでおいでと指をちろちろ動かして誘き寄せたい心地さえする、まるで可愛い愛玩動物(ペット)。
よし、名前は"キチク"のキーちゃんにしてやろう。
キーちゃん、キーちゃん……おいでおいで……。
「なんだよ、お前。なにが言いたいんだよ!!」
「にゃあ」
「あ゛? "にゃあ"?」
ふふふ、鳴いた。
キーちゃんが鳴いた。
「ぐがぁぁぁぁぁぁぁっ!! なんだその可愛い猫を相手にしているような、やけに慈愛深い目はっ!」
あたしの心の中での行動を悟ったかのように、キーちゃん帝王が吼えた。
帝王様は、自らの可愛い変化をわかってはいるのだろう。
「まだお前はそうやって他のオスのこと考えるのか!? 猫に愛情注ぐなら、すべて全力で俺に捧げろよ!! なんでお前はそうやって持ち上げてすぐ……」
キーちゃんは、オスで間違いないらしい。
そのキーちゃんはなにかじたばだと怒っているようで。
今度は怒りで顔が赤いような。
……怒り?
「俺を懐柔してペットにする気でもする気か……?」
空気が冷え込んだ。
「いい度胸だな、――あ゛っ!?」
……キーちゃん、怒ってる?