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目が覚めたら。
第8章 鬼畜帝王が暴走しました。2
「コーヒーメーカー水1杯分に対し、珈琲の粉をマグカップ1プラス半カップ? あたしナツからそう聞いて昨日作ってみたんです。生まれて初めて」
「……マグカップ?」
「え? ナツにカップと言われたんで……ハル兄のマグカップでちゃんと1杯半。あれでいいんですよね、あたしが中学の時、東北の修学旅行で買ってきた"鬼はいねが!?"と書き殴られた、ばかでかいカップで」
重い沈黙が流れた。
「……静流ちゃん、味見してみた?」
恐る恐ると言った口調でおばさんが聞いて来る。
「いいえ? あたし珈琲飲めませんし」
おどさんとおばさんは顔を見合わせて、ため息をついていた。
「え? 間違っていたんですか? って言うか、あたしがマグカップになみなみと注ぎ淹れた珈琲、空になってましたけど?」
あたしは分量を間違えてしまったのだろうか。
それをハル兄は最後まで飲んでくれたということなのだろうか。
もうそうだとしたら――。
「不器用ね……あの子」
そうおばさんが苦笑した。