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目が覚めたら。
第8章 鬼畜帝王が暴走しました。2
「ええ。それを貴方のお母様から聞いた時は、ただ唖然としたけれど」
情報源は意外にあっさりとわかった。
「なんですか、それは」
「それは言えない。波瑠と約束したからね。私も命が惜しいもの」
……ハル兄。
実の母親怖がらせてどうするんだ?
「じゃあハル兄に直接聞けば……」
するとおばさんのため息が聞こえた。
「無理ね。だけどあの子がもしも"運命"というものに逆らう決心をして、今まで見過ごしてきたものに向き合う覚悟が出来、そしてなんとかできたのなら。もしかするとその時は……笑い話で語るかもしれない」
なにか困難なことをハル兄がしようとして、それが成功しない限りは、あたしには語られない……と言われている気がする。
あたしは眠る時に、覚悟めいたハル兄の表情から感じた、不穏な影を思い出す。
――波瑠もわかっているのよ。静流ちゃんは、奈都を選ぶことに。
ハル兄は最初から、あたしにナツを推していた。
もしもそれが既に決められていた事象であり、"運命"というものに近い確定的な事柄だったとしたら――。
それに刃向かおうとしているための不穏さを、あたしが感じたというのなら。
――あの子がもしも"運命"というものに逆らう決心をして、今まで見過ごしてきたものに向き合う覚悟が出来、そしてなんとかできたのなら。もしかするとその時は……笑い話で語るかもしれない。
ハル兄は、なにをしようとしているの?