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目が覚めたら。
第8章 鬼畜帝王が暴走しました。2
 

「奈都の時のように、"恋人"のような甘い関係を、その心を求めないの?」


 冷や汗が出てくる。


 ナツとは最後まではしていないにしろ、兄弟どちらともそういう関係になっているということは、お見通しらしい。


 なんて女だあたし。

 どんな顔をしていればいいんだあたし。


「いや、あの……その……」

「別にふたりの息子を食ったのかとか、責めてはいないわ。むしろ贈呈しているのは私だもの。見るからに美味しそうに育ったふたりなんだから、ふたりの味を貪りつくして貰いたいわ。

幾らあの子達が望んで体を捧げても、静流ちゃんが食指を動かさなかったら、私密室に全裸のあの子達と静流ちゃんを監禁して、ちゃんとスルまで鍵かけてようと思ってたの。ムード高めるいろんなグッズを置いた特製地下室に。で、どうなの?」



 "いろんなグッズ"ってなに?

 特製地下室ってなに?


 さすがはあの兄弟の母親。

 きちんと彼らの特性を踏まえたことをしてくれる。


 平凡だから恐い、その行動力の限界が未知数過ぎて。


 まるでハル兄ににじり寄られているような威圧感に、あたしは観念した。


「ハ、ハル兄は……こ、恋人モードを求める時もありますけど、それはハル兄の事情が事情なもので……」

「事情?」


 そこまでは知らないらしい。

 ハル兄はナツだけに知らせようとしていたみたいだから、ここはハル兄のためにお口チャックでいなければ。


「あ、甘々モード全開の時は、ハル兄が弱っている時で。はい、あたしが迷惑をかけてばっかりいるんで、お疲れモードのようで。その時限定の"設定"を」


 目を泳がせながら、結局はハル兄が"甘々"になることを、その実の母親に暴露してしまったあたし。



「設定……。報われない子ね、あの子も。そこまでしているのに、現実に持ち込めないのは……やはり奈都への遠慮があるのね。それとも、静流ちゃんに引き摺らせない"ごまかし"のテクニックを素晴らしいと褒めるべきかしら。それともただのヘタレ?」


 おばさんはなにやら小声でぶつぶつとつぶやき、ため息をついた。

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