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目が覚めたら。
第8章 鬼畜帝王が暴走しました。2
「は?」
なにが"あっ!!"なのかわからない。
もしやあたしの後になにかあるとか?
振り返ってみてもなにもなく、店員の驚愕はどうしてもあたしに向けられているように見える。
「また私に、やらしい姿を見せつけにストーキングしてきたの、アンタ!!」
この甲高い声には聞き覚えがあった。
「あの男もそうだけど、あの卑猥な医者もそう!! ようやくあの病院のコンビニから、近所のコンビニバイトに切り替えて安泰だと思ったのに、なんであのふたりだけではなく、アンタまで私を追ってきたの!? どうして私をそこまで付け狙うの!? この地域は変態の巣なの!?」
しかもこの被害妄想的なご意見。
「もしかして!! タカシくんに横恋慕!? だから私にいやがらせ!?」
ああ、彼女だ。
大学の図書館でゲホンゲホンして、ナツを怒らせた――。
「委員長……?」
「なんで私の仇名まで知ってるの!? やっぱりストーカーなのね!?」
誰もに共通して彷彿させる"委員長"。
ある意味それは彼女の特性だが、今はその片鱗はなく。
「その顔……」
この化粧が施された顔は、どこをどう見ても、田舎娘のような野暮ったさはなく、洗練されたモデルのようで、"委員長"の雰囲気からはかけ離れている。
「大学デビューよ、いけない!? タカシくんに釣り合う女になりたいの、いけないの!?」
キーキー、キーキー。
顔は綺麗になっても、声音はいただけない。
タカシくん……ね。
あのよぼよぼ巨根の先生ね。
「タカシくんが毎日思い詰めて、遅くまで研究室に居て私と会ってくれなくて、だから別に私はタカシくんの浮気を疑っているわけでもないし、綺麗になってタカシくんを引き留めようとなんてしてないわ!!」
そうなんだろう。
目をうるうるさせて、健気な委員長だ。
そこまでいいか、あの巨根。
それより、タカシくん……。
まさか、毎日研究室に遅くまでいるのは、あたし達のサイン待ちじゃないですよね?
そのために彼女だか愛人だかが、綺麗になっていますが……逆に浮気を疑ってませんよね?