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目が覚めたら。
第8章 鬼畜帝王が暴走しました。2
 



 恋するひとのために美しくなろうとする乙女。

 そこまでの相手がいるとは、すごく羨ましいと思う。


 ……例え乙女の相手が、巨根でぐりぐりするよぼよぼであろうとも。


 ああ、純愛は美しく、不可解なり。


――あの男もそうだけど、あの卑猥な医者もそう!!


 "あの男"ってナツだよね?

 なにも言っていなかったが、ナツもこの委員長の姿を見たのだろうか。

 卑猥な医者……でハル兄を彷彿したが、そこまでご都合主義な世の中ではないだろう。ハル兄以上に卑猥な医者はいないと思うが、世間一般的に卑猥と呼ばれる医者ならいるだろうし。


 しかも委員長、この近所にお住まいらしい。

 あたしの家から近いのだろうか。


「なによっ!! 私になにか言いたいの!? 今度はやらしい言葉で私を責めてくるの!?」


 思わず身構える、被害者意識が大きい委員長。

 あたしの振る舞いは全てが"痴女"に繋がるらしい。

 ここでナツとタカシくんとの情事を覗いていましたなんて言ってしまえば、さらにキーキーキーキー、お猿さんになってしまうだろう。


 よし、ここは"痴女"とは縁遠い、凄い聞きたかった質問を。

 
「あの……"萌えまん"ってなんですか?」


 そう、あたしは今、萌えまんとやらが知りたいのだ。

 別に委員長の大学デビューの理由も、タカシくんが冷たい現状も知りたいわけでもない。なんでまた出会ってしまうのかも謎だが、それを委員長に聞いても埒があかないことはわかりすぎている。


 すると――。


「きゃあああ、えっち!!」


 またもや真っ赤な顔で言われてしまった。


 ……なぜえっち?
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