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目が覚めたら。
第8章 鬼畜帝王が暴走しました。2
「政府の要人や外国の貴賓が泊まる、最高級のスイートルームはこの下だ。俺様達はその上、部屋のグレードもスイートとは比較になんねぇ。だけどまぁ、生活臭するのが難点だがな」
「ハル兄はここに住んでるの?」
「たまに泊まることはあるが、ここ12年は基本病院が宿泊施設みたいなもんで、実家がセカンドハウス。だからここはサードハウスってとこか」
さすがは帝王、拠点は色々なところにある。
「とりあえず、生活に必要そうなものを買いに行ってくるから、お前はこの部屋でのんびりしてろ。風呂に入るなら、棚にタオルが入っているから勝手に使え」
「了解っ!」
ハル兄はあたしの頭を撫でると微かに笑い、咥えタバコのままでまたエレベータに乗って消えた。
すごいな、ハル兄。
お医者さんってそんなに儲かるものなんだろうか。
帝王ホテルの上にある、とてつもない最高級な空間。
お姫様みたいですごく気分は高揚するけれど……庶民が住むには贅沢すぎる。隅っこ暮らしでもいいくらいだ。
……とは、ハル兄には言えないけれど。
探険することにしたあたしは、ドアを開けて目に入る景色すべてに感嘆の声を漏らしていた。
キッチンは巨大なダイニングテーブルが置かれた部屋と直結しており、どこぞのお料理教室でも開かれそうに広く。
冷蔵庫にはなにも入っていないだろうななど思いながら開けてみれば、積み重なるタッパの中に、筑前煮やら肉じゃがやらが入っている。
……ハル兄、こんなもの作れたの?
「……。きっとナツだね。花嫁修業しているナツが、"もうお兄ちゃん、ちゃんと栄養取らなきゃ駄目でしょ"って、ぷっくりほっぺ膨らませて、作ってあげたんだね。ナツ、料理のチョイスが庶民的だね」
そして隣のサニタリールーム。
佐伯家の居間ほどある大空間に鎮座する、ドラム式洗濯機の中に、なにか異物発見。
取り損ねた洗濯物に違いないと、手を入れて引っ張り出せば……。
「黒い紐……パンツ……?」
スケスケの三角布の面積は、掌より小さい。
「………。うん、きっとこれは……ハル兄のだろうね。ポークビッツ専用の覆い買ってどうすんだろうね。ED状態でも、これならはち切れちゃうよ」
これをはいて診療してたのかな。
ハル兄たらお茶目さん。