この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
目が覚めたら。
第8章 鬼畜帝王が暴走しました。2
ニャン吉の言葉に、夕子さんの険しい目が向けられた気がする。
にやけ顔のニャン吉。ぎらつき顔のハル兄。
なんで36歳が引き合いに出されるのかわからないけれど、ここは穏便に。夕子さんはヤキモチ妬きのようだから、変な誤解をされないように。
「あの……あたしは、もっと若い方が……」
「!!!!」
目の前で、大仰なほど息を飲んだハル兄がソファに沈んだ。
「おい、佐伯? 佐伯くん? やべ、ED悪化しちまう!! シズルちゃん、"36歳大好き、ストライクゾーン"って言ってみ」
「なんでシズルちゃんがそんなこと言わないといけないのよ!!」
「夕子は黙って。じゃないと、佐伯立ち直れない。佐伯、お~い」
なんだかわからないが、ハル兄が大変らしい。
「"36歳大好き、ストライクゾーン"」
呪文のように唱えると、むくむくとハル兄が起き上がる。
若干涙目だが、じとりとあたしを見る。
「本当に?」
「本当本当」
「棒読みに聞こえた」
「気のせい気のせい」
あたしの代わりにニャン吉が答えてくれた。
「ん」
なにがいいのかわからないが、帝王様は少し立ち直られたようだ。
あたしには意味がわからないが、ニャン吉はわかっているらしい。
EDがなんとかって言ってた気がするけれど、ニャン吉も知っているようなのは、精神科医とか言ってたから、ハル兄が相談していたのか。
なんだかにやにや顔であたしとハル兄をみているのが、気に入らないけれど。言いたいことがあるのなら、言えばいいのに。