この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
目が覚めたら。
第1章 貴方は誰ですか。
怒り任せにぱっちりと目を開けたあたしの視界に飛び込んだのは、
「しーしっ!!」
長い睫毛に縁取られたアーモンド型の目。
きらきらと潤んで光る、ココア色の瞳。
ミルクティー色の柔らかな髪をふわふわと揺らす、どこまでも甘やかに整った、ハーフのような顔立ち。
「よかった、しーし……目覚めたんだね!?」
このお上品な甘い王子様が紡ぐのは"しーし"。
あのハナタレおデブが勝手に使う、その不名誉の愛称を平気で使っている。
誰だ、コイツ……。
しかも辺りを見渡せば、見慣れぬ部屋に居る。
この、独特な消毒液の匂いは……病院?
あたしは、簡易ベッドの上で、白濁色の点滴をされている。
「しーし、しーしっ!!」
王子様はあたしに抱きついてくる。
ああ、この甘い声があたしの排尿意識を掻き立てる。
まるでナツに抱きつかれているような妙な既視感。
「ねぇ貴方誰ですか?」
もしや、"しーし"しか喋れぬ「しーし国」の王子様?
すると男はがばりと顔を上げた。アーモンド型の目が驚きにまんまるだ。そしていたいけな小娘のように、よよよと泣き崩れる。口惜しそうに唇を震わしながら。
「僕を忘れちゃったの、しーし。僕は今までずっとしーしに尽くしてきたのに……」
はらはら、はらはら。
双眸からは、女より綺麗で儚げな……透明な雫。
ああ、これではまるであたしが悪女じゃないか。
どう見ても、彼の方が痛ましい。
複雑な心地でいた時、彼は言ったのだ。
「僕だよ、しーし。佐伯奈都(さえきなつ)。しーしより10歳年下で、波瑠兄とは17歳違いで家はお隣同士。覚えて無いの、しーしの恋人をっ!!」
………。
どこをどう突っ込んで良いかわからない。
あたしの記憶が確かであれば、10歳年下のナツはいがぐり頭のハナタレデブの小学生。しかも断じてあたしの恋人ではない。
これのどこが、7歳の小学生か。
これはどう見ても、あたしより年上のモデル真っ青の、長身細身の王子様。
共通しているのは、粘着じみた不思議系なところか。
「しーしっ!!」
長い睫毛に縁取られたアーモンド型の目。
きらきらと潤んで光る、ココア色の瞳。
ミルクティー色の柔らかな髪をふわふわと揺らす、どこまでも甘やかに整った、ハーフのような顔立ち。
「よかった、しーし……目覚めたんだね!?」
このお上品な甘い王子様が紡ぐのは"しーし"。
あのハナタレおデブが勝手に使う、その不名誉の愛称を平気で使っている。
誰だ、コイツ……。
しかも辺りを見渡せば、見慣れぬ部屋に居る。
この、独特な消毒液の匂いは……病院?
あたしは、簡易ベッドの上で、白濁色の点滴をされている。
「しーし、しーしっ!!」
王子様はあたしに抱きついてくる。
ああ、この甘い声があたしの排尿意識を掻き立てる。
まるでナツに抱きつかれているような妙な既視感。
「ねぇ貴方誰ですか?」
もしや、"しーし"しか喋れぬ「しーし国」の王子様?
すると男はがばりと顔を上げた。アーモンド型の目が驚きにまんまるだ。そしていたいけな小娘のように、よよよと泣き崩れる。口惜しそうに唇を震わしながら。
「僕を忘れちゃったの、しーし。僕は今までずっとしーしに尽くしてきたのに……」
はらはら、はらはら。
双眸からは、女より綺麗で儚げな……透明な雫。
ああ、これではまるであたしが悪女じゃないか。
どう見ても、彼の方が痛ましい。
複雑な心地でいた時、彼は言ったのだ。
「僕だよ、しーし。佐伯奈都(さえきなつ)。しーしより10歳年下で、波瑠兄とは17歳違いで家はお隣同士。覚えて無いの、しーしの恋人をっ!!」
………。
どこをどう突っ込んで良いかわからない。
あたしの記憶が確かであれば、10歳年下のナツはいがぐり頭のハナタレデブの小学生。しかも断じてあたしの恋人ではない。
これのどこが、7歳の小学生か。
これはどう見ても、あたしより年上のモデル真っ青の、長身細身の王子様。
共通しているのは、粘着じみた不思議系なところか。