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目が覚めたら。
第8章 鬼畜帝王が暴走しました。2
 

「……お前、人の苦労を……」

「あたしじゃだめ?」


 ハル兄の上で前後して動く腰。

 あたしのナカはもうギチギチで、熱く猛ったものを目覚めさせようと、今度は上下に腰を動かせば、ハル兄が苦しげな顔をする。


「……っ」

「あたしじゃ、満足できない?」


 汗の滴るその首筋に舌を這わせ、ハル兄の耳を甘噛みする。

 ハル兄がぶるりと身震いしたのが嬉しくて、ハル兄がしてくれたように、丹念に耳を舌で舐め上げる。


「~~っ、お前……っ」

「波瑠、まだだめ? まだ火がつかない?」


 

 どくん。



「波瑠の……奥でちょうだい? あたし……待ってたんだよ。いつも波瑠の……太くて固いのがあたしの奥をずんずんとしてくれるの」


 ねぇ、今喋っているのは誰?


「凄く気持ちいいの忘れられなくて……だからひとりでしちゃったの。あの刺激が忘れられない。波瑠が欲しくて、じんじんとアソコが濡れてきちゃうの。子宮がきゅうきゅうと疼くの。ねぇ……さっきも舐めて、触ってわかったでしょう? どれだけハルの復活を待っていたのか」


 ねぇ、ハル兄を誘惑しているのは誰?

 あたし言ってないよ?


 ねぇ、誰が喋っているの!?


 どくん。


 あたしの意志が声にならない。

 あたしの意志で体が動かせない。


 あたしはただ、思惟して見ているだけ。

 傍観者で居るだけ。


 どくん。


 ああ、まさかこれは――。


「ねぇ、"淫魔"なんてもう表に出て来ない。あたしをねじ伏せることなんてできないわ。どっちが上の存在なのか、思い知らせてやる」



 ハル兄、ハル兄!!

 それは違うの、それあたしじゃない!!


「好き……よ、波瑠。愛してるの……」



 それは、あたしの中に居た淫魔だ!!



 ――主従、逆転。



 あたしが、中に閉じ込められてしまったんだ!!





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