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目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘
◇◇◇
ハル兄は、念願の脱EDを果たした。
正直、お風呂で眠っている間にもおイタされるほどハル兄を焦らしていたらしいあたしとしては、その後もハル兄が満足するまで、もっともっと求められるものだ思っていた。
だけど、お風呂場でしたあの一回の後、
――なぁ、静流……。お前の肌、気持ちいいな。
ハル兄は甘えっ子モードになってしまい、ただひたすら浴槽の中であたしを抱きしめて、湯気にさらされる肌という肌にちゅっちゅちゅっちゅとキスを落としたり、甘ったるい声を出しながら舌で愛撫することだけに専念した。
――はぁ……。やっぱすげぇ……お前抱き心地いい……。ずっとこうしていてぇな……世界が終わるまで。
破壊力満点の言葉を、故意的な口説き文句ではなく、感想という形で何気なくさらりと言ってしまうあたり、帝王の天然攻撃に完敗。
あたしのなけなし&単純な乙女ゴコロは、それだけできゅんきゅんしてしまい、猫のようにごろごろと喉を鳴らして、あたしからもハル兄に甘えてしまった。
――ん……どうした? 可愛い顔して。そんなに構って貰いたいのか?
とろりとした顔であたしを見つめて、イイ子イイ子と頭を撫でてくれると、さらに甘えたくなるこのエンドレス状態。
甘さが高ずれば、あたしからちゅうをせがみ、ハル兄が授けるしっとりとしたキスに溺れ、ただ闇雲にハル兄に抱きつき、逞しい胸に頬ずりした。
――可愛いな……。
ちゅっちゅっと、頭に優しいキスが落とされ、切なそうな吐息をかけられ、胸を疼かせるあたしはますますハル兄にしがみつく。
あのハル兄に。
あの鬼畜帝王に。
どうしてここまで甘えたくなるのかわからない。
だけどハル兄が穏やかに優しくして愛してくれるのなら。
あたしは体だけではなく、心も疼いてたまらなくなるんだ。
あたしはハル兄の傲岸ぶりが苦手ではあったけれど、そうしたものが抜ければ、敬遠すべきものがなにもないことに気づく。
毒牙がないこのハル兄は、素敵すぎて。
離したくなくて。離れたくなくて。
……ああ、甘美なムードに酔いすぎているのかもしれないけれど。