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目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘
「キスしたというよりされたんだけれど」
「同じことだ!」
なんだかシャーと牙を剥いて威嚇された気がして、恐ろしくなったあたしは、話題を変えた。
「そういえばハル兄! 賭けのお金どうしたの?」
「ああ、ふたりから回収したぞ。片倉2,000万、ぼったくり3,000万プラス賭けに負けた分3,000万」
つまり、単純に足し算するだけで――。
「は、はは……8,000万!?」
都内に一軒家が建てられるだろう大金だ。
「ああ。本当はポーカーで勝った分の配当があったが、それは寄付という形で辞めてやった」
「して、その8,000万いずこに?」
「投資に回した」
ハル兄はにやりと笑う。
「手続きはサクラに任せてある。あいつの早い動きであれば、大金を投資した俺様は、今月中にも大株主となる。メリットは、優先的大々的"調査"。既に懸案事項を数個頼んである」
「調査って……いったいどんな機関に投資したの!?」
ハル兄は不敵に目を細める。
「俺様ネットワークだ」
くらりとする。
"俺様ネットワーク"。
過去、あたしの消えた元カレの素性を探し出した、帝王直下の情報部門。
「そんな怪しげネットワークに、8,000万も注ぎ込んだの!?」
あくまでハル兄の私的シークレット機関だったはずなのに、公的機関として格上げされるらしい。