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目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘
「ああ。未来に投資だ。俺様ネットワークは世界に羽ばたく。そして俺様はその大株主として、ネットワークの頂点に君臨する」
「………」
「………」
「………」
「……なんだ、シズ。なにか言いたげなその目は」
「別に……」
……もういいや。
ハル兄が損失していないのなら。
ハル兄が主役で頑張ったんだから、どう使おうがあたしが口出しするのはおかしいことだし。
泣いているのはぼったくりとアダルトナツだろうし、もう会うこともないだろう人達のことなんかどうでもいいと切り捨てよう。
だけどお金は、大事に扱おうね、ハル兄。
大組織に成長するらしい調査機関に、ハル兄が託した依頼はアダルトナツのことだった。いつどうやって調査を依頼したのかなどという疑問より、それを優先事項として依頼したのが意外だった。
「そんなにアダルトナツが気になったの? ナツに顔が似てて、意味ありげだったから? 確かに淫魔のことにも事情通みたいだったけど」
「ああ。しかもあいつ、キスだけでお前の発情を抑えた上、帰り際、"また近いうちにお会いしましょう"って笑って言いやがったし。それに2,000万、どうも最初から挨拶代わりに用意してきていたような気がしてな」
確かに。勝手に勝負をふっかけてきた割に、勝手にドロップをして、勝利には固執していなさそうに見えた。
「むしろ、花を持たせて……あとで根こそぎ摘み取りにくるような、邪悪さすら感じた。しかもシズが警戒を抱かないとなれば、尚更タチ悪ぃオトコとしか思えねぇ」
そんな時、再びスマホから音が鳴る。
「……ナツからメールだ。………。なぁお前、コンビニで派手にやらかしたのか?」
「え……? ああ、商品投げ付けて応戦したから……」
「たまたま居合わせた警察官がいたらしい。お前からの事情聴取をしたいと連絡があったみたいだが、お前、聴取に受け答え出来るか?」
「大丈夫だよ。それより、警察官なんて居合わせてたかな……?」
「胡散臭い輩が出始めているから用心はしておけ。俺もナツも立ち会う。1階ラウンジでいいな? ……支度しておけ」
葉山静流、生まれて初めて警察のお世話になります。