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目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘
 


 その横で暇なあたしは、ナツとこそこそ。


「ねぇ、ナツ。腹筋って、10個も分かれるんだね。ナツも10個あるの?」

「……僕、6つしかない。鍛え足りないのかな、筋トレ頑張らないと。それより、しーちゃん。なんでこのふたり、真っ昼間堂々帝王ホテルのレストランで、ここまで便秘ネタで嬉しそうに盛り上がれるんだろう?」

「うーん。クサい仲っていうことかな」

「まだクサくもなってないと思うけど」

「それもそうだね」



「ひとの腹をなに軟弱に言うんだよ。俺の腹は鋼のように頑丈だぞ!!」

「嘘つけ。総長の襲名式の時にお前が駆けつけた、愛しのロリちゃんのハジメテのお料理で、死にそうなほど深刻な食中毒起こしてから、すぐピーピー……」

「ピーピーはお前の幻想だっ。俺の腹は」


 ……ん?

 総長の襲名式に駆けつけた?

 ハジメテのお料理?


 ――で、死にそうになるほどの食中毒!?



「愛しのロリちゃん?」


 あたしとはまた違う単語で引っかかったらしいナツの呟きに、


「そうなんだよ、弟ちゃん。こいつ、実は極度のロリコンで」

「違うって!!」

「なに言ってるんだよ。俺にあの頃散々に愚痴ってたくせに。聞いてくれよ、こいつ……」

「黙れ、口開くなっ!!」


 ……ハル兄、やっぱりロリコンだったんだ。


「シズ。……その哀れんだような第三者の眼差しはやめろ」


「……。まさか、この子……"愛しのロリちゃん"? 泥つきの皮ごとぶったぎった野菜と、悪臭放つ肉の塊をチョコレートルーで煮込んだ? なんだお前、念願叶ってとうとうロリちゃんモノにしたのか」

「……しーちゃん。そんなことしてたんだ……。花嫁修業する前の僕ですら、そんなこと思いつきもしなかった。……中々、エキセントリックでワイルドだね。……っていうか、そんな時から波瑠兄もう既に……」


 衝撃を受けるあたしとしては、爆笑するウサギと、悲しげなナツの言葉など耳に届かない。


 ロリコンだったんだ……ハル兄。


「なんでここでその話題が振り返すんだよ……。俺……事情通のウサギの手前、肯定すればいいのか? シズの手前、否定すればいいのか? 今まで隠し続けてきた手前、ナツにもどう反応すりゃいい?」


 無論、頭を抱えるハル兄の言葉すらも。



 ……佐伯波瑠、ロリコン決定。


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