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目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘
"愛しのロリちゃん"
なんだかその言葉には、ロリのあたしがハル兄に好かれているようにも聞こえるが、正しくはロリのハル兄に狙われた子兎……だ。
「ハル兄……内科じゃなくて小児科のお医者さんやった方がよかったんじゃないの? あ、だけどそれなら犯罪者になっちゃうか」
そう真剣に言ったら、ウサギがテーブルをバンバン叩いて笑い出し、ハル兄のウイスキーを一気飲みして、またバンバンと叩いて笑い続ける。
……勤務中に、どさくさ紛れてウィスキー……飲んでいいんですか?
「ひっひっ……腹筋痛っ。ひっひっ……ハル、まだロリちゃんモノにしてないのか? あの短気なハルが、あの女が寄って集(たか)るハルが、ちょ、長期戦……っ、一体何十年掛かってるんだよ……ひっひっ……」
ああ、このウサギは勘違いしている。
「あの……。ロリというのは許容範囲があるかと。つまりあたしが小学生を卒業した時点で、あたしはハル兄のロリ対象から外れるから、長期戦もなにも……」
「ひっ、ひっ……もう俺駄目。息するのも苦し……ひっ、ひっ」
ウサギはますますテーブルを叩いて悶え、ハル兄は機嫌が悪くなる。
え、正論だと思うのに、なんでこの36歳コンビには通じないのだろう。
これがジェネレーションギャップって奴?
駄目だ、会話すら成り立ちそうもない。
眠る前の年齢に近いナツを窺ってみたら、ナツはなんとも辛そうな顔つきで俯いていた。
「ナツ?」
するとあたしの声で顔を上げたナツは、にっこりと王子様スマイル。
だけどどことなく元気がない。
あたしは手を伸ばして、ナツの頬を触る。
「大丈夫?」
するとナツは嬉しそうにココア色の瞳を細めて笑った。
まるで上品な猫が首元を指で擽られて、気持ちよさそうに頭を傾げているような図だ。
「心配ありがとう。大丈夫だよ、しーちゃん」
本当に素直で可愛いなぁ、ナツは。
だけどやはりあまり大丈夫そうには見えない。