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目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘
傍目では、テーブルの下であたしの手を握っているなんて思えない。
それでも見るひとが見ればわからないだろうか。
「ロリちゃん?」
ハル兄の片手だけ、不自然なほどにテーブルの上に出されていないことに。片手だけテーブルの下に、膝の上に置かれていると……そう素直に思ってくれるだろうか。
彷彿するのは、クソメガネがバイトするパスタ屋での帝王様のお戯れ。
あそこまで際どくないにしても、皆に隠れてこそこそとしている時点で、いけないことをしている罪悪感に塗れてしまったあたしが、思わず身じろぎして抵抗の意志を見せると、さらにぎゅっと強く握ってくる。
「――……ぬをっ!?」
そのあまりの痛さに、おかしな声が出てしまった。
「しーちゃん?」
「ロリちゃん?」
そしてハル兄が意味ありげな横目を寄越し、にやりと笑う。
「どうした? なにか"忘れていたもの"でも思い出したか?」
まるでそれは、"俺様を忘れるな"という帝王様のお達しのようだ。
そしてあたしの手は、握られたまま帝王様のお膝元。
帝王様の領域(テリトリー)に入れられ、さらに強く握られた。
……なに、握力であたしの指の骨を砕くつもり?
そう思って青ざめていたら、あたしの足になにかがコツンとあたった。
向かい側に座るナツの足がぶつかっているらしい。
ナツの足が長すぎて窮屈な思いをしているのだろうと思いきや、
「――ぬ!?」
ハル兄側ではないあたしの足が持ち上げられて、ナツの膝の上に置かれたのだった。巧妙に靴を脱がされて。
「なにか思い出せそう? しーちゃん」
ナツは確信犯的な笑みを浮かべた。
……若干、妖しげに揺れる瞳で。
そしてナツは、王子の領域に入れたあたしの脹ら脛を、手で愛で始めたのだ。
ただの"さすさす"ではない。
あたしの快感を導き出そうとする"手淫"だ。
片やハル兄に手を強く握られ、片やナツにあたしの足を愛撫されて。
声を出して拒みたいのに、互いにみつからないようにとなぜか防御本能がうるさく警鐘を鳴らすため、同時にふたりの"繋がり"を耐えることとなった。
なに?
兄弟で一体なんのプレイ?