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目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘
「なぁ、シズ。きちんと答えろ。国民の義務だぞ?」
痛みしか与えていなかったあたしの指に、帝王様の手がねっとりと絡みついてくる。そのねっとり感は手だけではない、流し目もそうだ。
どこまでも情事を思わせる、帝王様のお戯れ。
「しーちゃん、早く答えないと公務執行妨害で捕まっちゃうよ? あ……手拭き落としちゃった……」
手拭きを取るふりをしてテーブルの上から体を消すと、堂々とテーブルの下にてあたしの生足に舌を這わせるナツ。いつのまにかニーハイソックスを足首近くまで脱がされていたことにあたしは知らず、突然のざらついた舌の動きにぞくりと身悶えた。
「ふふ、やっと取れた」
爽やかな笑みを浮かべて、やけに赤い舌で唇を舐める様は、エロチックで仕方が無い。
大胆不敵の変態王子様のおイタも、ただの遊びの域を越してきている。
もうここは、さっさとこの場を切り上げるしかない。
あたしはまるで、油が切れて錆び付いたロボットのように、カクカクと頭を動かしてウサギを見ると、カクカクと口を開いた。
「マ、マッタクミシラヌヒトタチデシタ」
「……ロリちゃん、なんで片言?」
「アタシ、モトモトコウデスガ」
「なあ、ウサギ。お前シズを拉致した車のナンバーおぼえてんだろ? そこからなにが出てきた?」
さわ。
「ヒ!!」
「ロリちゃん?」
「ナンデモアリマセン」
言えるわけがない。
こんなに眉間に皺を見せて真剣な面差しをしている帝王様の手が、今度はスカートの下に入ってきたなど。
「ねぇ、宇佐木さん。もしかして、どこかの研究所……とかじゃない?」
さわさわ。
「ヒィ!!」
「おい、どうした!? ロリちゃん!?」
「ホントニナンデモナインデスヨ!!」
だから、言えるわけないんだ。
帝王様の弟君である王子様が、こんな真摯な顔をして心配してくれているのに、その実……自ら靴を脱いだ足で、あたしの伸ばした足の内股をなぞり始めたなど。
外側から攻めてきた帝王と、内側から攻めてきた王子。
なんでふたりの手と足が巡り会わないのかが不思議なくらい。
あたしの腰回りはそこまで太いのだろうか。