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目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘
ナツは腕を組んで言った。
「ウチの大学の歴史は古い。無論、古書関係の重要文献は日本一とされているし、著名人の"書"の展示室も昔は書庫の一角にあったと聞く。今はそれを取り壊して、パソコンでの閲覧にしてしまったようだけれど。
波瑠兄の説で行けば……隠したのは、やはり可能性的に……」
「ああ。可能性が高いのは、シズの親父だ。彼は書道家として時に俺も連れて……よく休みに書の研究のためにと大都大学に行っていた」
ハル兄の口から、ドーナツの煙が浮かんだ。
「な、なんでパパが!?」
「シズのお袋が、淫魔だからと前から狙われていたんだろう。その流れで歴代淫魔の秘密が書かれた本も狙われた。いや、もしかするとその本に淫魔攻略のなにかが書かれていて、それがあればシズのお袋を懐柔して研究できると思われていたのかもしれねぇ。だから森に木を隠したんだ」
「研究……だからしーちゃんもまた」
「ああ、母子共に狙われているんだろうよ。怪しい機関に」
「い、淫魔なんて面白くないよ!? なんでそんなに淫魔虐めするの!?」
その時ウェイターがお水を替えてくれた。
口を慎んだあたしとは逆に、ハル兄のお口は止まらない。
「そりゃあお前、いずれ尽きる食糧など必要ともせず、扱くだけで出てくる白濁の精液さえ飲めば生きられるなど不死身みたいなものだろう? 男の性欲なんぞ、年取ろうが病気になろうが無尽蔵だしな」
ドーナツがぷかぷか浮いた。
「発情したSホルモンは、会ったばかりのウサギでもフル勃起させる魔力を持ち、あっちでもこっちでも精液ドパーッは必然。課題はどれだけ濃いどろどろとした白いものを、量を多く出せるか、だ。満足させられなきゃ、ただ消え去るのみ。これは典型的なセックスの弱肉強……」
「ハル兄、しーっ。お口しーっ!!」
……ハル兄……お口慎もうよ。このウェイターさんも、絶対聞き耳たてているくせに、異様な無表情さが恐い。