この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘
 


「はぁい、しーちゃん……チーズ!!」


 その時、ナツが突然スマホを向けてくる。

 あまりに突然すぎて、だけど即座に反応したあたしの体は、意志とは無関係に勝手にピースサインを作り笑顔を向けてしまう。



 そしてばっちり……


「あ……」


 丁度注いだ水をあたしの場所に戻したウェイターさんと、ツーショットになってしまった。


「ごめんね……波瑠兄」


 苦笑するナツの視線を追えば、ハル兄も一緒に映ろうとしていたらしい。

 しかしハル兄の前にウェイターさんが邪魔するようにして映ってしまい、多分ハル兄は……よくて背後霊だ。


 ……この不機嫌そうな顔を見れば、間違いなく怨霊だ。


 そして、言葉を発しない怨霊の睨みという呪いをかけられて、さすがに無表情のウェイターさんも冷や汗混じりに、すみませんとひと言謝ってそそくさと逃げるようにして去る。


 去ればハル兄の顔も少し緩和して、


「間違いねぇな。あれはホルムアルデヒドだな」


 不可思議な呪文をぼそり。


「なにそれ?」


 代わりにスマホを操作しながら、ナツが答える。


「ホルマリンってわかる、しーちゃん」


「うん、死体を漬けておく液でしょう? ホラーでよく出てくる」

「それがあの男からしたっていうこと」


 ……つまり?


「ええええ!? だったらこのレストランは、死体を……ふがっ!?」


 あたしの口を手で塞いだ上に、頭にハル兄のチョップが飛んで来た。



「時と場合と環境を考えろ。言っていい発言と悪い発言がある!」

「な、なにを……っ!? ハル兄こそ、ウェイターさんの目の前で……」


 なんだか理不尽だ!!

 あたしの方が非常識に聞こえるじゃないか!!


「本当のウェイターなら言わねぇよ、んなこと」

「は? 嘘でも本当でも平気で言うでしょう、ハル兄なら」

「俺様を誰だと思っている。それに焦点が違うだろ」


 帝王様から容赦なくチョップが落とされた。

 あたし、頭蓋骨歪んできてないだろうか。


 ……って。


「あのウェイター、本物じゃないの!?」


 ようやく、あたしはハル兄の言葉の"焦点"に気づいたのだった。



/920ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ