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目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘
「……容体急変? なんで……は!? 免疫不全のクランケの腹、俺の不在に外科の立花が裂いただと!? 阿呆か!! 血小板の値下がっているのに、そんなの敗血症になるのは当然じゃねぇか!!
あ!? 来週は学会でオペできねぇのを、患者の家族に金積まれて俺の休暇中に無理にオペしたようだと!? 金と学会と患者の命、なにが最優先だ!! 今まで経過観察しながら万全の準備をしていた意味ねぇじゃねぇか!! わかった、今からそっちに行く!! 立花を逃げないように縛り付けておけ!!」
そしてハル兄は、実に残念そうな顔であたし達を見た。
「しばらく……帰れねぇかもしんねぇ……」
「まぁ、お医者さんだしね……」
あたしがそう言うと、さらになにかを言いたげに瞳を揺らしたが、
「ナツ、頼むぞ!!」
その表情を払拭し、なにやら固い表情にてナツに託されたあたし。
「波瑠兄……。行動はきちんとメールするけど……ここには泊まらない。ここは……波瑠兄のお気に入りなんでしょう?」
「……ああ」
「だったらせめて、それくらいの気は回したい。波瑠兄の絶対不可侵の領域に、僕は手出しをしないから」
「……さんきゅ」
「波瑠兄。フェアに……行くから」
「………」
「……諦め悪い僕でごめん」
ナツがそう悲しげに言い顔を俯かせると、体を伸ばしたハル兄は薄く笑いながら、手を伸ばしてナツの頭をわしゃわしゃにした。
「血が繋がればこそ、お互い様だ」