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目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘
あたし自身、まだよくわからないことが多すぎる。
正直、裸の体を重ねるとより強く発動される"好き"と、服を着ていると鎮まる"好き"が同じものなのか、そしてそれらが世間一般的な恋愛感情なのか、あたしには自信がない。
ハル兄の強烈なセックスアピールにやられているだけといわれれば、そんな気もしてくる。ハル兄は体だけでも魅惑的だから。
ハル兄が抱いた女達は、彼女面をしてハル兄の心が自分にあると思っていた。彼女達だって、ハル兄から"愛されている"という自覚があったからのことだろう。
たとえ錯覚でも、ハル兄から愛されていると思えば、オンナであればハル兄を"愛する"だろう。堕ちてしまうだろう。
帝王様はそれだけ強烈なオトコだし、あたしだって普通のオンナだ。
――ひとときの迷いにさせねぇよ。言ったことを後悔なんてさせねぇ。
ハル兄が、そんな台詞をあたしだけに言ったのか、他にも言ったのかはわからないけれど。
ねぇ、もしもあたしがハル兄を恋愛感情という意味で好きで、ハル兄がそれを受け入れてくれるのなら。
昨夜みたいに、今朝みたいに……甘々な雰囲気であたしを愛してくれるのなら。
――静流ちゃんは、奈都を選ぶことに。
……なんで、ナツとあたしがどうこうなるのを前提に立ち去るの?
好きって、そういうもの?
そんなにあっさりとしているもの?
だからあたしは余計にわからなくなる。
ハル兄は夢や迷いで終わらせるなというけれど、終わらせているのはハル兄だって同じじゃないか。
体を重ねない時に、EDがない時に……本当のところ、ハル兄はあたしのことどう思っているのだろう?
経験豊富な帝王様としての立場ではなく、佐伯波瑠というひとりのオトコが、あたしをどう思っているのか、知りたい。
――静流ちゃんは、奈都を選ぶことに。
……だけど知りたくない。
永遠だとあたしに言いながら、ハル兄の心では、終焉のある関係を望んでいることがわかれば、あたし……。