この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘
 



「そう言えばナツって、運転免許取るのに苦労したんだっけ」


 ……あ、チャリにも抜かれた。

 もしかして今、環状七号線この車を先頭に渋滞しているかもしれない。


「うん。仮免と本試験落ちまくった。筆記はいいんだけど実技がね……。人生初の連続落第に挫折しかけたよ」


 ……成績2位、現役大都大学合格、モデルのバイトから本採用。

 すべて一発クリアの挫折知らずが、なぜに運転技術に一歩及ばなかったのだろう。


 この子の運動神経や反射神経が悪いとは、到底思えないのだけれど。


「なんかね……突然車とかひとが出てくるから、速度を出せないんだ。ようやく頑張って法定速度まで出せるようになった」


 ……適性がないのかな。そうは見えないのだけれど。

 ナツ自身、ハル兄の速度には喜ぶほど、速度恐怖症ってものでもなさそうだし……。本当に不思議な子……。


 だけどあたしもゆっくり運転がいい。

 あんな爆走されたら、生きた心地しないもの。

 爆走のための高級スポーツカーなのだろうけれど、どうせ乗るのなら人様に迷惑をかけずに、周りの景色を楽しんで移動したい。

 ……あたしは軽自動車……いやいや、チャリで十分な庶民なのだ。


 真剣な眼差しで運転するナツが、すごく新鮮で見惚れてしまう。

 つけまつげしているような長い睫毛が羨ましい。

  
「もぅ、あんまり僕を見ないでよ。それじゃなくても、念願叶ってしーちゃんを助手席に乗せることが出来て、嬉しい以上に緊張しているんだから」

 ぷっくりとナツのほっぺが膨らんだ。


「ふふふ、外の景色見ているより、ナツを見ている方がいい」


 ちょんちょんと膨らんだほっぺを指で押して見る。


「もぅ、しーちゃんっ!! あんまり僕で遊んでいると、人に見られて恥ずかしいお仕置きしちゃうよ!?」

「へ?」

「……運転に余裕なくても、僕の指はしーちゃんの体を覚えている。顔は真っ正面に向けてても、右手ひとつでどう操作すればどういう風にしーちゃんが動くのかはわかるよ?」


 ちろりと寄越されたのは、艶めいた流し目。


「人からよく見られるように、ゆっくりゆっくり走ってあげるけど?」

「失礼致しましたっ!!」


 変態王子様だということを忘れていた。

 だけどまぁ……それだけの元気が戻ったのなら嬉しい。

/920ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ