この作品は18歳未満閲覧禁止です

  • テキストサイズ
目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘

 駐車場内でキスをした時――。


――これ以上は駄目。ここは波瑠兄の領域だから。


 優しく舌を絡め合わせた後、ナツはその先に進もうとはせず、それだけに留めた。だけど名残惜しそうにあたしの両頬を手で挟み……額をこつんと合わせて言った。


――波瑠兄の領域に僕は踏み込むつもりはない。波瑠兄の残像がある場所で、しーちゃんは愛せない。


 頬に添えた手をもぞもぞと動かしながら、ナツは微笑んで言った。


――しーちゃん。今日のお泊まり期待しててね。


 儚げで爽やかで。

 ナツ独特の甘やかな笑顔で紡がれた、その言葉。


 "お泊まり"。

 あたしは流浪の身の上に、警察官らしからぬ警察官のお世話になってことを思えば、ナツにどこへ連れられてもいいけれど。


 ……期待ってなに?

 凄いいい場所ってこと?



――僕ね、今日から合宿なんだ。で、サクラとこれから大学で会うんだけれど……ふふ。ふふふ。しーちゃんと一緒なら耐えられそう。ふふふ……。


 謎の"ふふふ"。

 もうクソメガネには会いたくはないけれど、確か奴も言っていた、ナツの合宿。確か……早漏対策の。


 耐えられるってなにをするのだろう?


――実はね、しーちゃんに内緒で……お泊まりの場所も決まってるんだ。それを"受け取り"にも大学行かなきゃ。キャンセル待ちしてたんだけど、空きが出たって朝連絡受けて。しかも偶然とはいえ、よかったな……"あそこ"は合宿場に近いし。合宿の成果を存分に発揮できるように、期待しててね!


 ………。

 え、期待……って、合宿効果の期待?


――僕だって……もう、このままずるずるは嫌なんだ。だから僕も、波瑠兄と同じ土俵に上がらせて貰う。


 そしてナツは、あたしの手を握ったまま……シフトレバーを引いて、運転を始めたのだった。



 同じ土俵って……ねぇ、ナツ。

 ちょっとナツ……?



 今夜、早漏回復して……しちゃおうということですか?

 待て待て待て。


 あたしが淫魔だということを忘れていませんか!?

 合宿で早漏治るもんですか!?


 クソメガネ、ナツになに唆(そそのか)したの!?


――頑張るぞ~!!


 やる気を見せて元気を回復したナツの横で、あたしはクソメガネの得体の知れない魔の手から、ナツを護ろうと決心して、今に至る。
/920ページ
無料で読める大人のケータイ官能小説とは?
無料で読める大人のケータイ官能小説は、ケータイやスマホ・パソコンから無料で気軽に読むことができるネット小説サイトです。
自分で書いた官能小説や体験談を簡単に公開、連載することができます。しおり機能やメッセージ機能など便利な機能も充実!
お気に入りの作品や作者を探して楽しんだり、自分が小説を公開してたくさんの人に読んでもらおう!

ケータイからアクセスしたい人は下のQRコードをスキャンしてね!!

スマートフォン対応!QRコード


公式Twitterあります

当サイトの公式Twitterもあります!
フォローよろしくお願いします。
>コチラから



TOPTOPへ