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目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘
ナツが連れる空間というのは、あたしの(精神)年齢に近くて、昔に返ったようで心が気楽だ。
ハル兄のように、普通では絶対立ち入れられないセレブ空間に連れられるのは、ドキドキする反面……劣等感も強まるのは事実。
やはりハル兄は大人で、あたしは子供で。
その現実を嫌でも思い知らされるから。
その点、ナツはその変態さにより、あたしが背伸びしない日常空間のままで、ドキドキしたものに変えさせる不思議な才能がある。
難関大学は王子様のおイタする場所ではなく、今にもこの大学に入りたくて猛烈に勉強している人達も大勢いるという、明るい将来に繋がる学舎だというのに。
……だけど、ああ。
性キャンバスライフを満喫している人達は他にもいたね。
「ナツ……委員長、覚えてる?」
「委員長?」
なぜか、ナツは手を握って歩こうとしなかった。
手を繋ぐのが昔から当然になっていたあたしとしては、そこに違和感があって……さらには、空回りするあたしの手がなんと虚しいこと。
「うん、図書館で何度も邪魔した……」
「……ああ、ストーカー?」
互いにストーカー呼ばわりして、嫌悪感を抱いている。
「委員長、例の……白衣集団が来たコンビニの店員だったの」
「あ、うん。あそこに居るのは知ってたよ。ほらしーちゃんが初めて佐伯家にお泊まりした夜、不審者が落としたコンビニのレシートを追ったら、不審者にレジした新人がその……委員長? だということがわかって。その日はもう帰っちゃってたから、わかったのはシフト入ってた次の日だけどね。で、顔見るのも腹立たしいから、波瑠兄に任せちゃった」
「ああ、それで……」
――この地域は変態の巣なの!?
知らなかったのはあたしだけで、ナツはとうに顔を突き合わせていたらしい。
「しかも彼女、波瑠兄の知り合いでもあったみたいだよ。病院のコンビニ店員してたみたい」
なんと――っ!!
「え!? じゃあ彼女の言っていた、卑猥な医者ってハル兄のこと!?」
……世間は狭すぎる。
もしや!!
あの……卑猥な牛女シリーズをレジ打たされたのは、彼女!?
それなら気の毒だ。
すごく気の毒すぎる……。