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目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘
「なんでもこっちのコンビニでは、失恋したかのような凄い顔だったから、波瑠兄が再会記念にファッション誌を買ってプレゼントしたようだよ?」
――男の気を引きたいのなら、女を磨け。
「……そこまであのハル兄がしてあげて、なのになんであんなにハル兄のこと毛嫌いしていたんだろう。全然お褒めの言葉がなかったような……」
ナツはくすりと笑う。
「ああ、"余計なお世話"って返されたのが気にくわなかったらしい波瑠兄が、他の接客があるから帰れと簡単にあしらわれた腹いせに、自分用に買ったエロ本の表紙に……その名札から名前盗み見た挙げ句に、"コンビニ店員の私、シイナの愛読書。これタメになります☆"とマジックでPOP書いたの貼り付けて、ご丁寧に彼女がいるレジにたてかけたらしく」
……ああ、ハル兄。
貴方様は確か、貴方様が施したものについて、最大の感謝を捧げねば許さないお方でしたね。
こっちの迷惑顧みず。
「ちょうどそこに、ゴミ捨てから戻って来た他の先輩店員や、どっとお客さんが入ってきて、その本見られちゃったらしくて……。あ、その様子は波瑠兄、外から見ていたみたいだけど」
容易に想像がつく。
そしてハル兄はにやりと笑い、人ごとのようにタバコを吸って帰ってきたのだろう。委員長の金切り声の悲鳴をBGMに。
「一応、ファッション誌は置いてきたようだけど。彼女がそれを役立てているかは知らない」
委員長が大学デビューをしたのは、単純にバイトをするあたり、変に目立った自分の今までの姿を隠す必要があったからなのでは。
そうまでして、続けるコンビニとはいかに?
そしてタカシくんとはうまくいったのだろうか。
「だけどナツもよく、レシートからコンビニ割り出せたね。店名書いてあったとしても、あそこ周辺同じコンビニがたくさんあるのに」
「ああ、買ったのが"萌えまん"だったからね。それを売っているのはそこだけだから。それを売り文句のチラシが、家に来ていたの知ってた」
萌えまん……。
あの謎の萌えまん。
「ナツ、結局萌えまんって……」
「しっ!! そういうのは、しーちゃんがお口にしちゃ駄目!!」
ナツが赤い顔であたしの唇を手で押さえた。
萌えまん……。
変態王子すら赤い顔をさせる萌えまん、気になる!!