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目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘
「波瑠兄の電話の後、僕との連絡を絶って消えようとしたのは、僕を切り捨てようとしたからだろう? 波瑠兄と話して、やっぱり僕は子供過ぎて嫌になった?
だけど僕は駄目でも……同じ年のサクラならいいんだ? そりゃあサクラはいい男だよ。僕なんかより遙かに頭はいいし、格好いいし。僕なんかサクラのオプションみたいなものだけれど!!」
ナツは、クソメガネに劣等感を抱いていたこと発覚。
ありえない。大都大学の双璧とされるナツとクソメガネ。
双璧とは、上下関係ではなく……対等なのに。
「いつ、僕に内緒で連絡とりあってたのさ。僕がかけても電話繋がらないのに、どうやってサクラと連絡とってふたりでいられたのさ!! 大体サクラが来るの、30分早いじゃないか。僕に嘘ついたのか? ふたりでこそこそ……どこでなにをして、今までずっとふたりでいたんだよ!!」
「図書館に居たんだよ。あたしひとりで本を探そうと。でこの人は、ナツと連絡とれないからって、直接図書館に来て……」
「なんで勝手に図書館!? なんで僕を待てないわけ!?」
「それはナツが」
「僕がなんだよ!!」
言いたいことは山にあるけれど、言葉が詰まって出て来ない。
ただ酷く悲しいだけだ。
ああ、このままだったら……涙出そう。
「ナツ。俺に嫉妬する前に……お前、言うべきことはないか」
クソメガネが、ずいと前に出た。
あたしを庇うように。
「言うべきこと? これ以外になにがあるって!? 大体サクラ、僕の心はずっとわかっていただろう!? なのになんでよりによってしーちゃん!?」
「ナツ。お前……別の女に手を出していないか」
「は?」
ナツは心外だというように、顔を歪めさせた。
「この女を……過去の女として切り捨てようとしていないか?」
「なんでだよっ!!」
ナツは激高した。
「お前……なんのためにこれから合宿場にいこうとしているのか、わかっているよな!? なんで僕がそんなに不誠実……もしかして!! しーちゃんもまさか、そんな風に思っているの!? 別に本命いると!?」
ココア色の瞳が、驚きに見開かれた。
「……ナツ。売店行くっていって……電話かけたでしょう。頻繁に電話かけてきた相手に。あれ、誰」