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目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘
なにそれ、なにそれ、なにそれ!!
だからナツは、わざとらしく画面に『モモ』を出すだけで取ろうとしなかったの?
「あ……多分、俺が電話で入れ知恵したせいだ」
クソメガネが、バツの悪そうな顔で頭を掻く。
「ナツが、あんたを……今までと違うアダルトな雰囲気に持ち込むのにいい案ないかって相談されたから、"押してだめなら引いてみろ"と」
「はああああ!? まさか手を繋がなくなったのは……」
ナツは、恥ずかしそうに俯いている。
「そして俺、"協力してやるから、俺を利用して妬かせるなりなんなりして、様子うかがってみろ"って言ったんだ」
クソメガネからの電話だとわかっているから、ナツは取らなかったんだ。
ただ『モモ』という名前を、あたしに見せつけるだけで。
ちらちらと、あたしがどんな反応をするのか様子をうかがっていたのか。
「鳴らしすぎだよ、あれは!! だからあたし、不信感を……」
「実はあれは俺の"協力"じゃない。早く到着出来そうな旨、あの電話で言い忘れたのに気づいて、折り返し何度も連絡したのに繋がらなくて焦って」
「そうとは知らず、僕は利用させて貰いました……」
消え入りそうに、ナツは言う。
「なにそれ……。電話に出なかったら、メールにすればいいじゃない」
「メールは苦手だ」
「どや顔で言うな、あんた本当に現代の大学生!? だけど通話中でその後は通じなかったんでしょう?」
だからあたしは、売店に行くフリをしたナツが、隣に座ったモモと電話しているからだと思ったんだけれど、もしかしてタイムラグがあるのかもしれない。
「途中通話中になったのは、電源切ったあんたにナツが電話しまくっていたからだろう。あるいは波瑠さんと電話か。だけどナツ、なんでひとりで売店行った? 前にこの人、絡まれてたの見てただろうに」
「う……ん。ひとりで売店行ったのはすぐ戻れるという理由と、僕がいない間にしーちゃんが少しでも妬いてくれてたらって思って。
途中しーちゃんに電話をかけて、異常は無いかどうか、そしてしーちゃんの様子を窺うつもりだったんだ」
ナツは申し訳なさそうに言う。