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目が覚めたら。
第4章 鬼畜帝王は×××でした。
ナツは……今頃どこにいるのだろう。
お揃いにした(させられた?)スマホから電話してみても、繋がらない。
――こんな高さでくたばるのは、俺の弟ではねぇ。仮にくたばったら、その旨の連絡がどこからか入るだろう。ここは病院だしな。
その連絡がないまま、2日経つ。
音沙汰ないのは元気な証拠だと思うようにして、あたしは毎日数十分おきの採血中心の検査で、軽く貧血おこしてくらくらしている。
12年前はあんなに健康だったのに、12年後は体調が不安定に感じるのは、体が12年間でファンタジー的なおかしなものに変わりつつあるからなのか。それともアラサーのせいか?
綺麗なナースが採血……と思いきや、それすらハル兄がやってくれるおかげで、ナースの姿はいまだ見えず。病人食もハル兄が持参してくれる。
サバンナの帝王が食ったナースの数は未知数だが、彼の餌食になったせいでナースの絶対数が減って現れないのではなく、どうやらハル兄は、その唯我独尊、傲岸不遜な態度には似合わず、結構まめな献身愛を患者に注ぐ担当医なのかもしれない。
しかも注射が上手い。まったく痛くない。
ぶすっと片手で容赦なく刺されて、そのままぐりぐり抉られるかと震え上がっていたあたしにとっては、かなり新鮮な驚きだった。
「そりゃそうだ。俺はぶっ挿(さ)して痛がらせたことがない」
にやり。
なんだよ、その意味ありげな笑い。
どこになにを、痛みなくぶっ挿してるんだよ。
だが採血のたびにあの怪しげな"特濃俺様牛乳"が出てくるのはやめて欲しい。それを突き返せば、あからさまに不機嫌そうになる担当医。
なんで執拗にそれを飲ませようとするんだよ。
なんでこだわりの理由を言わないんだよ。……聞きたくもないけれど。
「シズ。臨床検査の結果、やはりお前の体には、アルコールが媚薬代わりとなる。僅かでも摂取すればSホルモンがやたら活性化する。酒は厳禁だ」
体は成人、心は未成人。
ああ、「乾~杯、ぷは~っ」ってやってみたかったのだけれど、それはできないらしい。
「コップ一杯のビール飲んだだけで、恐らく……10人以上ものオトコが地球上から消える」
……淫魔をアルコール消毒できればいいのに。