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目が覚めたら。
第4章 鬼畜帝王は×××でした。
だけど、ハル兄――。
あたしを拒絶するのなら、どうしてそんなに苦しそうな目をするの?
なんでそんなに優しく頭をなでるの?
鬼畜帝王らしくないよ――?
すくりとハル兄は立ち上がった。
「……タバコ買いに行ってくる。欲しいものあるか?」
「まともな本とDVD」
「……。よし、だったら二次元ではないまともな本にしてやろう」
にやり。
帝王は鬼畜さを取り戻し、お笑いになった。
二次元ではないまともな本……?
それはどう転んでも、卑猥さは消えない気がする。
むしろ二次元ではない分――。
「お前も成長したな、シズ。そこまでリアルに拘りたいか。それとも俺を堕とす研究でもするか? だったら俺好みのすっげ~ぇの買ってきてやる」
ハル兄が"すっげ~ぇ"と言うくらいなのだから、あたしに想像つかないほどの凄いのを買ってきそうだ。というか、そんなもの販売できるの!?
「お前は特別に、俺より先に見せてやる。勉学に励め。ああそうだ、テストでも後でしてやるか? ……実践で」
やだやだ、愛を拒否する帝王の実践なんて、考えるだけでも震えがくる。やはり帝王を餌になど、考えるのも恐すぎてあたしにはできやしない。
もうやめよう、あたしはナツがいればいい。
この恐いひとは、医療サポーターだけで十分です。
「いりませんっ! 見たいならハル兄ひとりでどうぞっ! ほらほら、この牛女シリーズも持ち帰って。これはハル兄の……あ!?」
彼は白衣に刺さっている赤いボールペンで、"葉山静流専用"と大きく書いた後、誕生日からスリーサイズから個人情報を書き記す。
「捨てようものなら、どこかで拾われて、牛女好きのお前の個人情報がネットに流れるぞ? それが嫌なら俺様のプレゼントを後生大事に持っていることだな」
所有権を額に刻まれた牛女。あたしも牛女も迷惑千万。
「自慰に励めよ?」
あたしが投付けた牛女の攻撃を簡単に躱し、片手をひらひら振って、ハル兄はタバコを買いに行った。
帰ってくるな!
……あたしが寂しいと思わない間は。
……この時がこの日で一番平和だったかもしれない。
まさか、その後あんなことになるなんて――。