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目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘
 

「大丈夫か……?」


 モモちゃんが心配げな顔であたしに声をかけてくれた。


「寒い? 顔色が悪いが……。俺がなんとでも言っておいてやるから、こっそりここから抜け出して早く下着つけてこい。そしてあんたのタオルも持って来て、ひとまずくるまれ。俺が代わりに行ってやれればいいが、着替えが先決と思えば、あんた本人が動かないと」



 優しいモモちゃん。

 お姉さん、じーんときちゃったよ。

 


 だからあたしは素直に言った。 


「大丈夫。今抜け出せないようなら、腰に巻いたモモちゃんのタオルを使わせて貰うね。コダマクン威力を思い出して、溢れちゃった下のヌルヌルさえ拭きとれれば、とりあえずこれ以上は冷えないと思うから。だから心配しないで」


 びしっと、親指をたてて。


「……ぶっ」


 優しいモモちゃんは吹き出した後、四つん這いに床に崩れて、動かなくなってしまった。



「Mr.片倉~、はい、拍手~」


 そんな時、アトリウムの舞台に出て来たのは、Mr.デザイナー。


 まるで興味ないあたしが、更衣室にこっそり走ろうとした瞬間。


「こんにちは」


 マイクを通したその甘やかな声音に、あたしの動きが縛された。

 思考以上に身体が反応してしまう。


 今必要なのはパンツであり、声の主を見ることではないとわかっているのに、振り向いてしまう。


 その先に居たのは――。



「片倉遊佐です」


 アダルトナツ。

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