この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘
そう、帝王ホテルのカジノで、ハル兄に勝負を持ちかけた……ナツによく似た雰囲気を持つ美貌の男が、ナツに酷似した柔和な笑みを浮かべていた。
なんでここに?
ハル兄が警戒心を抱き、確か調べさせていたハズだけど……。
と思ったら、今までぷるぷるしていたモモちゃんがすくりと立ち上がり、あたしとアダルトナツとの間に割るようにして入り、互いの視界を遮った。
「……波瑠さんが異常に警戒してた。極力、あの男と近づけさせないようにする」
それはまるで騎士の如く。
「あんたの情報を知っている時点で警戒の対象だ。ホテルの時もそうだが、あんたにわざとらしく向けてくるあの目線、どうも偶然ではない気がする」
あたしが淫魔だということを知っていたアダルトナツ。
「あんたは狙われている身の上だということ、覚えておけよ」
淫魔の渇望を、キスひとつで抑えたアダルトナツ。
確かに彼は秘密があるのだろうが、
「一番厄介なのは、あんたがまるで警戒を抱いていないということだ。ただ単純にナツに似ているから、が理由じゃないだろう?」
そうなのだ。あたしは皆が騒ぐほどに、やはりアダルトナツに敵対心や警戒心は抱かないのだ。
逆に親近感を覚える。
今ですら――。
しっとりとしたその目線が、モモちゃんを超えてあたしと交差すれば、それだけで身体がかっと熱くなる。
それはまるで欲情したかのように。
眠れる淫魔が目覚める気配すらしてくる。
危ない。
そうあたしの心は警鐘を鳴らすのに、身体は喜んでいる。
アダルトナツの視線のもとにさらされることを。
まるで、主人に従順な奴隷のように――。