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目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘
モモちゃんの背中から、ひょこりと顔を出してアダルトナツを見ようとすれば、それに気づいたモモちゃんが身体を動かして邪魔をする。
しかし負けじとその横からまた覗こうとすれば、またモモちゃんが背中で隠してしまう。
「モモちゃんの意地悪っ!!」
「あんた……、警戒心を持てよ!! 俺、さっきそれを言ったばかりだろう!? そこまであんたの脳みそには、記憶を持てる脳細胞がないのか!?」
ぶーぶーと文句を言ったら、それ以上で怒られた。
警戒心を……というのは理性ではわかっているつもりなんだけれど。
……無性に気になってしまうのだ。
ナツが似ているからなのか。
ナツに似ているからなのか。
どこまでも優しげで柔らかい美貌を持つ新鋭デザイナー。
ナツの実兄、正反対の空気を纏うサバンナの帝王とは、外面内面まるで共通点が見つからず。カジノの時も思ったけれど、むしろ相違点が目立つほどで、両極端過ぎた。
実は帝王ではなく、アダルトナツがナツの実兄でしたと言われても、外見上からはまるで違和感ないだろうが、ハル兄とナツ、ふたりをよく見知るものからすれば――。
そこいらの兄弟より仲がよく、阿吽の呼吸を合わせられる卑猥なふたりが、実は他人でしたなど言われる方が、まさしく驚天動地。
あのふたりが平凡すぎる両親から生まれたこと以上に、兄弟ではないことに対するインパク度は大きい。
血の繋がりは外観の影響下にはないと、共に堂々かつ自由奔放に生き続けることで、酷似しすぎた内面を見せつけているあの兄弟は、どう考えても濃い血の繋がりをもった兄弟以外のなにものではなく。
違和感がありすぎるインパク度の度合いからしてみれば、
佐伯兄弟が実は兄弟ではない>アダルトナツは実はナツ本人だった>アダルトナツはナツとだけ血が繋がっている
……となるあたしにとっては、ナツとアダルトナツがよく似ている理由が、多少なりとも血の繋がりがあるから……とは考えられないこの不思議。
だが、ただの他人の空似だとも笑い飛ばせないのはなぜなんだろう。