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目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘
………。
あれ、聞こえなかったのかな。
モモちゃんから返事が返ってこない。
あたしはモモちゃんが聞こえるように、ぐいと腕を引っ張り……こちらに傾けたモモちゃんの耳もとに囁いた。
「アダルトナツにより拙者の淫魔が目覚める気配あり、その時はモモ殿の初出動を請う。拙者の口に入ったモモ殿の息子殿に甘味が認められぬ場合、アダルトナツとの接吻を……」
すると言葉が終わらずして、モモちゃんがぐるりとこちらを向いた。
その顔は怒りなのか羞恥なのか、ひたすら赤い。
「あんたどこぞの武士だよ!? なんでそんな口調で卑猥なことを、わざわざ俺の耳に囁くんだよ!?」
「聞こえていないと思ったから……」
「聞こえている!! どう反応していいかわからなかったんだ!!」
あたしは首を傾げた。
「だって、ハル兄やナツのいない緊急時に呼べって言ったの、モモちゃんじゃ……」
「言った……っ、言ったけど!! ちょっと前じゃないか、言ったの!!」
「そうだね、ちょっと前だね」
「なんでそんなに早く!? 俺にも……心の準備というものが……っ」
出動したいのかしたくないのかよくわからないけれど、なにやらツンデレアイアンバトラーは今、デレのお時間らしい。
とりあえず口元を手の甲で押さえているものの、困惑と喜悦と羞恥が混ざっていもお顔は、真っ赤っか。
チョイチョイ。
「あ、モモちゃん」
チョイチョイ。
「うるさいなっ!!」
モモちゃんの肩を叩くそれに、モモちゃんは激しく動揺したままで荒く抗してパシンとたたき落とせば。
「うるさいのは、君NE~」
モモちゃんをチョイチョイしてはたき落とされたメタボ司会者が、顰めっ面で苦情。
この奇天烈変質者に、怒られた……。
ゆ~ちゃんは口元に指を置いて、"し~っ"。
この、ゆるゆるもどきにも怒られた……。
「……くっ」
モモちゃん非常に悔しそうだ。