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目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘
 


 つまり――。


「な、ななななっ!?」


 モモちゃんの独り言は、空間全体に響くほどに大きくなってしまったわけで。

 イケメンのリアル"ドキドキピュア中継"に、観客も全員がドキドキしてしまったようで。

 ばきばきっとまた、なにかを破壊するという、大げさな反応を返してくれる観客もいるようで。


「な、なんで俺にそんなものを……」


 動揺と狼狽に、平生の落ち着いた声音を不安定に揺らすモモちゃんとあたしに、ゆ~ちゃんが腕にひっかけていた籠の中の"もの"を手渡した。


 透明なケースに入った、赤い"なにか"。

 これはなに?

 Dangerous Scentのロゴマークがついているけれど……。


 メタボ司会者の声がした。


「コホン。ええ……、まあついさっき合体したばかりだし? プレゼントの感想を求めるマイクに、LOVELOVEカップルのリア充の愛の生声、Thank you~。ちなみに聞いていなかったようだけれど、それはMr.片倉デザインの水着だYO~。決勝進出プレゼントだYO~」


 竜宮城から帰った浦島太郎さん状態だ。

 環境は刻々と流転していたらしい。


「Mr.片倉にお礼を言ってNE~」


 再び向けられたマイク。


「彼女と共に、アリガトウゴザイマス」


 全然ありがたがっていないモモちゃんが、あたしの分も棒読みで返す。

 モモちゃん、どんなに打ちのめされた状態であれ、絶対的にあたしとアダルトナツとの接触を持たせようとしないらしい。
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