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目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘
  

「いえいえ……。ふふふ、彼女のパーカー、本店限定のものですよね。上下で着て頂いていらっしゃるようですが、着心地はどうですか?」


 初めて会ったフリをして微笑みながら、アダルトナツは問いかける。

 あたしに向けられたゆ~ちゃんのマイクに、再びモモちゃんが横から話した。


「かなりいいと彼女と話しています。アリガトウゴザイマシタ」


 強制的に、はい終了。


 アダルトナツはさらに畳みかけて質問してくるかと思いきや、


「お気に召して頂けたのならなによりです」


 にっこりと微笑んで、手にしていたマイクを置いた。


 ちょっとした緊迫感を感じていたから、密やかに安堵の息をついたあたしは、ふと……見てしまったのだ。


 アダルトナツの横に立っているのは――。


「ナツ!?」


 思わず大声を上げてしまったあたし。

 アダルトナツの横に、ナツがすました顔で立っていたんだ。

 にこにことしたものではなく、どちらかといえばクール系の表情。
 
 見事に割れた腹筋を覗かせた上半身にパーカーを羽織り、長さを強調させる足をさらした、赤いサーフパンツ姿で。

 ナツ、合宿どうしたの!?

 モデルさんのお仕事あったの!?


「ははは、君はNatsuのファンなのかNA~? これは優勝賞品の等身大リアルNatsuフィギュアだYO」


 これ、お人形ですと――!?


「Natsuが着ているのが、今お配りしたMr.片倉デザインの水着。いいよNE~、これ」


 ……あれはまずい。

 リアルナツすぎる。


 今にも動き出しそうだ。

 あれならどうとでも利用されそうだ。


 幾らナツが変態王子とはいえ、その他の変態達の邪なるお道具にされそうなのを黙って見ているわけにはいかない!!

 
 再び芽生えた闘志。

 あたしがナツを守るんだ!!
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