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目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘
 
 
 オトコの水着の善し悪しなんぞあたしにはわからない。

 わからないが、皆がナツのフィギュアをガン見しているということは、素敵な海パンなんだろう。


「……違う。あれはただナツの股間を見ているだけだ」


 ぐったり感が激しいモモちゃんが、ぼそっと言った。


「司会者!! この中は触れば大きくなりますか!?」

「覗いてみてもいいですか!?」

「恥毛もありますか!?」

「勃起サイズも実物大ですか!?」

「色は!?」

「臭いは!?」


 ……すごいや。

 ナツの股間に、皆が食いついているよ。


 ナツの人気はその姿態ではなく、股間だったの?


 ナツ……。

 もしかして人気、息子さんがとっちゃうかもよ?


「はいはい、散って!! この中身を覗けて触れるのは優勝者のみだYO~。その精巧な感触を楽しみにして……こら、そこの集団、勝手に触らない、覗き込まないっ!!」


 メタボ司会者が大変そうだ。


 怒られた集団のうち、ある者がうっとりと呟いた。


「超キレイだった……」



 ………。

 ……どこまでリアルに作られているのだろうか。

 見てみたい……かも。


 
「背伸びするな。あんたはまだ着替えてないんだぞ?」

「あ、着替え!!」


 急に現実に返ったあたし。


 慌てて視線を向けるのは、斜め後ろの更衣室。
 
 しかしその先には、不可解な人だかりができていた。


『ただいま、更衣室で倒れられた方がいらっしゃいます。救急隊員がくるまで、入らないで下さい』


 聞こえてきたのは、そんな声。
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