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目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘
「やばいね、ここに本物いたら、どっちが本物かわからないかも」
綺麗な綺麗な変態王子様。
多彩な表情を見せて、人気ブランドのモデルを勤め上げるに至った麗しきその姿態は、決して他力の思惑に利用されるような軽いものではない。
ナツが醸すその空気が、やはり普通人には持ちえない"色"があるから。
それは華やかな芸能人気質を含んだ、独特のオーラで。
「なんで変態さんなんだろうね、ナツ。だけどまぁ……そうした残念なとこが可愛いんだけれど……。だからあたしは、ナツには甘くなるんだよね……」
あたしはふぅっとため息をつきながら、人形ナツの頭を撫でて、よしよしをする。
「ナッちゃんはお人形さんになっても可愛いねぇ。まあ、格好いい方が比重高いけれど……。しーちゃん、こんなナツに見つめられて、ドキドキしちゃうよ」
心なしか――すました表情が嬉しそうな色を浮かべたように見えた。
それまで顔を覆っていた無機質の冷ややかさが薄れた気がして、……たとえそれがあたしの自己満足的な感情に左右されたものだとしても、ナツの表情に柔らかさを少しでも感じれば、あたしだって嬉しくなる。
「よしよし、ナツは可愛い、可愛い」
ほっぺまでナデナデ。
うふふ、ますますナツ人形が悦んでいるよう。
"しーちゃん"
今にも、嬉々とした声が聞こえてきそうだ。
凄いや、ひんやりとはしているけれど……肌には産毛もある。
ほっぺのお肉も、感触が滑らかだけではなく、しっとり柔らかい。
凄いよ日本。
12年後の技術はあたしもびっくりだ。