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目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘
 


 コンコン…。



 その時ノックがなされた。


「大丈夫か? 異常はないか?」


 細やかな心配りが出来る心配性のモモちゃんの声。


「大丈夫大丈夫。いつも心配ありがとうね、モモちゃん」

「……別に……、大丈夫なら、いいけど……」


 もそもそとした口調になっているモモちゃん。

 素直に感謝したから、照れたのかな…?


「可愛いなあ、モモちゃんも」


 ほっこりとした気分で、ドアを見つめて微笑んでしまうあたし。


「ああっと、こうしている暇はない。着替え、着替え、お着替え。ああ、そうだ。ナツのタオル借りちゃおう。くるまれば温かくなりそうだし」


 人形であろうと、さすがにナツそっくりの存在の前でノーブラとノーパンを披露出来るほど、あたしは神経が図太くない。

 実年齢がどうであれ、自覚精神年齢は……花も恥じらう乙女なんだから。


 とりあえずナツ人形の背後の部屋の片隅にて、いそいそ。

 
「ふぅ……、すっぽんぽんになっちゃった。まずはお股を……拭かないと……」


 コダマクンの記憶蘇生だけではなく、アダルトナツの声音に触発された部分は、きっと凄いことになっているはずだから。



「ああ、あそこに箱ティッシュがある。あれで……」

「デリケートな部分には、こちらの方がよろしいかと」


 差し出されたのはポケットティッシュ。お肌に優しい"○セレブ"。


「ああ、ありがとう。じゃあ遠慮なく」

「拭いてあげましょうか?」


「いやいや自分で拭けるから……って、え?」


 今、あたしは……誰と会話した?

 このティッシュ差し出したのは……?



「しーちゃん……」


 聞き慣れた……甘く切ない声がして、後ろからぎゅっと抱きしめられた。


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