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目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘
脳みそが少ないと定評のあるあたしの頭の中では――。
合宿効果をあげられないと不安がるナツを、あたしと……あたし達を心配して来たのだろうナツの親友であるモモちゃんとで勇気づけ、ナツが囚われたよからぬ妄執は決して現実ではないことを信じて貰い、再度チャレンジ精神を呼び起こさせる――はずだった。
それはもう、お涙頂戴ばりの友情メロドラマのように。
モモちゃんは感動ドラマを最高潮に盛り上げる、重要な任務を帯びていたはずだった。
それが――。
「サクラ?」
「……っ」
あたしと誤解を解いた(はずの)ナツは、完全ではないものの……柔らかくモモちゃんを迎えたのだが、今度は逆にモモちゃんの表情が硬化していたことにより、つられるようにナツの表情も曇っていく。
つまり、モモちゃんの登場で事態は微妙に悪化したんだ。
なぜに。
なぜに!!!
モモちゃん、罪悪感混じりのその顔は、あたしとなにかありましたと言っているようなものだよ。
どうしていつものあのクールぶったふてぶてしい仮面を外しちゃうの、ナツ相手だからとそこまで素面にならなくてもいいじゃないの!
そう思えど……、確かにモモちゃんは変わったから。
表情豊かに(殆ど真っ赤になっていたけれど)なったから。
……もしかして、今度は感情を隠せなくなった……とか?
今秘めているモモちゃん事情はよくわからない。
モモちゃんを理解できるする者がいるとすれば、ただじっとモモちゃんを見据えるように見つめているナツだろう。
あのココア色の澄んだ瞳に、モモちゃんの揺れる瞳はどう映っているのか。