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目が覚めたら。
第9章 変態王子様の奮闘
 

「あはは、しーちゃん、なにそのガニ股!!」

「だ、誰のせいで……」


 ナツは大笑い。

 笑ってもサマになる夢の王子様は、なんでこんなに変態なのか。

 いいようにされているあたしの態度も助長させているのかもしれないと思った時、ナツがあたしの頭をぽーんぽーんと優しく叩いた。


「ありがとう、しーちゃん。笑わせてくれて」

「笑いをとってたの!?」

「ん? そんなはずないでしょう? 僕がしたいのは、しーちゃんのここに入れて、ふたり気持ちよくなって心も気持ちよくなりたいこと」


 麗しの王子様は、妖しく甘く囁く。


「しーちゃん。僕はサクラが好きだ。どんな喧嘩をしても友達で居たい。だけどね、友達でいるために腫れ物を触るような扱いはされたくない。きっとそれはサクラもそう。だから僕は……」



 コンコンコン。



「タイムアウト。開けていいか?」

「いいよ、サクラ」


 モモちゃんが出て行ったときにはまるで聞けなかったナツの朗らかな声に、モモちゃんも戸惑ったのだろう。

 数秒後にドアが開いた。


「ええと……時間、なんだが」


 ナツの穏やかそうな顔を見て、モモちゃんはさらに戸惑ったようだ。



「ねぇ、サクラ」

「なんだ?」



「応援はできないけど、だけどね……、教えてくれてありがとう。お前が言おうとしたのは、キス云々ではない、自分の気持ちだったんだろう?」

「――っ!?」


 モモちゃんがびくんと身体を震わせた。



「ナツ、だけど俺は……」

「しーちゃんだから安心した。しーちゃんだから納得した。……ああ、サクラも、ようやく人間らしくなれたのかって」


 なに、なに、What?

 親友くん達はなにをお話に?

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