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目が覚めたら。
第10章 変態王子様のご褒美
 

「Ladies and Gentlemen!! はい、注目NE~」


 リアル変態王子様の麗しいお顔をじっくり拝見した後の、さらには王子と執事のツーショットをピカピカネオンに彩られながら見つめていた上に、こうして挟まれているあたしにとって、このピンクの縁のついたハートサングラスをかけたメタボ司会者の"珍獣"たる姿態にがっくりする。

 なにこの雲泥の差。美形は無理でも、間とってせめて普通のひとを司会者にして欲しかった。しかもなに、いつの間に上半身裸になって、腰に巻いている大きなタオル。まるで風呂上がりのオヤジだ。


 ああ、すごいよ、この視覚の落差からくる精神的ダメージ。

 あたしの周りにいるイケメンズに抱く残念感より大きい。


 イケメンというのは、心の潤い効果もあるなとしみじみ感じ入るあたしは、滔々と"なんちゃってEnglish"で話し続けるメタボ司会者を視界から積極的に排除して、癒やしを求めてひたすら可愛いモモちゃんをガン見。

 だが。こちらを見ていないくせに勝手に真っ赤になりゆくモモちゃんは、あたしの視線から顔を隠そうとひたすら"あっち向いてホイ"のように動き、あたしは頼みのオアシスを失ったのだった。

 仕方が無く動かない無機質なナツ人形を見ていたけれど、なにか虚しく、どこにモモちゃんが赤くなる要因があったのか、考えた。

 彼との会話もなければ視線もあっていないあたしは、きっと対象除外のはず。

 はて、ではなにに?

 周囲を見渡せども、それらしきものはない。モモちゃん実は……子供とお婆さんに赤くなる、ロリコン&ババコン気があるのだろうか。


「――くっ。誰かこのひとに、"オトコゴコロ"を教えてやってくれよ。ナツ……お前、今までなにやってたんだよ……」


 "オトメゴコロ"と聞き違えたあたし。


「なんと!! モモちゃん、オトメだったのか。オトメンって奴!? だったら、あのヒラヒラの水着とか、あの小さい子の可愛いリボンが欲しくて……」


 ……また暫く、口をきいてくれなくなった。

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