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目が覚めたら。
第10章 変態王子様のご褒美
注がれる、周囲からの奇異としてしか思えない視線。
その中でも熱烈的な強い視線を好意的に向けてくれるのは、アダルトナツだった。
机についた両肘に、ナツに酷似した顔を乗せてあたしを見ている。目が合えば、アダルトナツはナツのようにふわりと微笑んで口を動かした。
"か・わ・い・い・"
うわ……。デザイナーさんに誉められた……。
「えへへ……」
「喜ぶなっ!! あんた状況わかっているのか!!」
気づけば、モモちゃんがアダルトナツとの間を遮る盾のように立っていて、それが"彼氏"ゆえと囃し立てられたらしいモモちゃんは、周囲の"ひゅーひゅー"を一身に受けている。
それでもモモちゃんの顔は厳しい。
「そこまで警戒する……?」
「俺は、ハルさんとナツから頼まれた。そして俺個人的にも、あいつは好ましいとはまるで感じない」
アダルトナツに対するあたしの警戒心は、モモちゃんが彼に感じるほどは発動はしておらず、今しがたナツと接したばかりだから余計、ナツがそこで見守っているような心安い気がして、ほっこり気分の方が勝っているというこの不思議。
あたしが特殊なのかなと思ってみたが、ずっと変なハート型メガネをつけているメタボ司会者にはきちんと敵対心や嫌悪感が強く。
あたしの警戒センサーは、イケメンには甘い作りになっているのだろうか。
「いいNE~。スタイリッシュだNE~。実は男性用、私も貰っちゃってるんだYO~。FUFUFU~、じゃあーん」
今まで説明していた司会者が、巻いていたタオルを取ると……、そこには今にも破裂しそうに膨らんだ腹と、それに隠れてなにがなんだかよくわからない、ナッちゃん人形がつけているのと同じ赤い水着を着ているようで。
ねぇ、だからさ。
だからどうしてそうやって、嫌悪感を煽る真似をするのかな、きみ。