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目が覚めたら。
第10章 変態王子様のご褒美
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なんとか火照る体を鎮め、やってきました、シークレットの決勝戦。
優勝者の賞品は、ナツ人形の他、Dangerous Scentの10万円分のお買い物券と、cherry girlsの新製品二種だったはずだ。
そしてそれは、今にも動き出しそうなナツ人形が手にしている、お盆の上に置かれていた。ナツ人形は非売品というレア商品でありながらも、その存在でひと集めに宣伝をし、モデルとしてデザイナーの感性を体現させられ、貰われるまでこうして色々働かされている。
使えるものは、たとえ釣りの商品でもとことんこき使おうという薄情な雇用側のあくどさを垣間見た気がして、思わず涙してしまう。
ブラック企業に負けるな。ナッちゃん人形、がんばれ!!
しーちゃんが今、ナッちゃん人形を利用しようとする悪い輩から助けてあげるから。そしたら頑張ってた分、リフレッシュ休暇をたんとあげる。
だから、それまで我慢してね。
そんな勤労な人形が持つ盆の上には、お買い物券が入っているだろう祝い袋と、布が被せられた怪しい山――。
あの布の下を覗いてみたい気はするけれど、"新製品二種"がまともな代物だとも思えず。たとえあたしの正体が実に怪奇な淫魔だろうが、あっちの世界に行きたくなければ、見ない方がいいと警鐘が鳴る。
「さあ、やってきました決勝戦。拍手~」
あの体型では有名デザイナーの折角の気品あるデザインが穢れると、周囲からの辛辣な野次ゆえに泣く泣く……横にはピチピチ、縦にはダブダブのパーカーを着たらしいメタボ司会者のかけ声で、決勝戦が開始される。
最終舞台はここアトリウム。
大勢が見守る中、簡易ベッドが真ん中に用意された。
そしてスタンドマイクが一本。
なにこれ。
ここで寸劇でもやれと?