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目が覚めたら。
第10章 変態王子様のご褒美
「ま、とりあえずやるっきゃないね。頑張ろうね、モモちゃん」
今までも、モモちゃんのピュアピュアさに助けられ、ハジメテしたばかりのアツアツカップルだと揶揄され、ナツにも誤解されたくらい、仲良しになったあたし達だ。きっと今回もなんとか行くだろう。
そうポジティブに考え、ガッツポーズをしたあたしだが、モモちゃんは実にげんなりとした顔で言った。
「あんたさ……、状況軽く見ているだろう。なんでこの場にベッドがあると思う?」
「座りながら、アツアツぶりを惚気ろというんじゃないの? 立っているのも辛そうなお爺さんとお婆さんもいるし……」
「座るならば椅子でいいだろう」
ま、確かにそうだ。ベッドはこの場には違和感ありありアイテムだ。
「想定が"惚気会話を聞かせる"じゃないんだ。あれは絶対狙っている。第一、ここまで勝ち抜けるほどの、普通じゃない…厚顔無恥な俺ら以外の2組が、ただ座って話すだけで終わると思うか?」
「へ?」
嫌な予感が、ようやくしてきたあたくし。
「じゃあまずは、大学生カップルからNE~」
メタボ司会者の吊り上げられた口元が気になってくる。
「これは。10分とはいえども――」
目の前で田舎臭い平凡カップルがモジモジしながら、ベッドに歩いてきた。
「あのぎらついた目で期待している"採点者"達を満足させ、誰からも点数を取るには、公開羞恥プレイをしなければならなくなるぞ?」
「はいぃぃっ!?」
公開、羞恥プレイとはなんぞや?
考えたくないけど予想できるあたしは、卑猥菌に思考まで冒されているのか。
「ざっと見、観客は100名弱。あのデザイナーの50点を仮にあんたに個人票として入れて貰えたとしても、他2組がそれを上回る観客や司会者サイドから点数を貰っていたら、俺達は負ける」
「ここまで来て!?」
耐えがたきを耐え、忍びがたきを忍び。
恥ずかしい問題を勢いだけで勝ち抜いてきて、最後の最後で脱落というのは、意地的に許しがたい。
それに、ナツ人形を取り戻すとナツと約束したのに。