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目が覚めたら。
第10章 変態王子様のご褒美
 

「しかも……ナツが見ている」



 モモちゃんが顎で促した先には、サングラスをしてフードを被った長身……、どう見ても怪しい変態もどきだが、見る人が見れば華やかなオーラを纏ったナツがいるのが見える。

 

 ベッドに腰掛けたカップル。

 そしてふたりは――。

 

「最初からこんなに飛ばされるのなら、多分あれ以上をしないと駄目だろう。ナツが見ている前で」



 初っ端からディープキスをやらかして、くちゅくちゅと言う音をマイクが拾った。


 あれ以上のこと……。


 だから公開羞恥プレイ!?



「モモちゃんと?」



 目を泳がせながらモモちゃんに言うと、モモちゃんは辛そうに笑った。


「そう、俺と」



 モモちゃんとディープ以上?

 しかもナツの前で?


 ベッドのカップルは、自分達の世界に入ってしまい止らない。


 トイレに駆け込む観客がぽろぽろ……。

 尿意を催したわけではないことは確かだ。



 このカップル、色事になるとやけに色っぽく美しく見える。

 だから、余計に妖しさが充満して扇動されるのだ。



 坊主頭の彼が、田舎娘の彼女の胸を揉み、彼女の体がゆらゆらと揺れる。

 カップルの愛の営みを覗き見しているような、背徳感にぞくぞくする。


 マイクが拾う喘ぎ声は悩ましく、乱れた呼吸を隠せない。



「……モモちゃん」



 あたしは、似たような呼吸をするモモちゃに、上擦った声で聞いた。


「息子さん、元気になった?」

「――っ!?」


 モモちゃんは目を見開き、真っ赤な顔で後退り。

 下半身を見ようとしたが、慌ててモモちゃんにくるりと後ろを向かせられた。


「だから、なんでそういうことを不意打ちで……」

「モモちゃんもそういう気分になってくれないと、やりにくいなと」


 そう、初恋の綺麗なお姉さんは、ピュアピュアモモちゃんをリードしなければならない。


「あんた、マジにやるつもりなのか!?」


 動揺に、モモちゃんの声がひっくり返った。


「モチ。10分"以内"だし。それにナツはわかってくれる。それだけナツが大事だから、ナツ人形を死守するためにする演技だと」

「演技……」


 モモちゃんが口をきゅっと結んで目を伏せた。


「あんたには……そうだものな。割り切れる……よな」

 

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