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目が覚めたら。
第10章 変態王子様のご褒美
あたしはナツを悲しませたくない。同時にモモちゃんも悲しませたくない。
身分不相応にも両天秤かけたような形で、同性から何様だとブーイングを食らうことを覚悟して、それでもひたすら親友同士の平和的解決と幸福な環境を願うあたしは。
イケメンふたりをいいようにもてあそべるだけの技量も美貌もないのを自覚した上で、出来ることがあるとすれば。
モモちゃんから生まれたばかりのこの"感情"を、モモちゃんを幸福へと導くポジティブ方面に大切に育ててあげることしかないから。
人間なんだから。悪意を除いた"感情"は、どんなものであれ抱いて悪いものも、許されないものもあるとは思えないから、否定したくない。
感情は他人に消されるものではない。他人がどうこうできるものではない。生きている限り本人の心に根付き、必要あれば戦い続けないといけないもの。
あたしにできることは、モモちゃんが、自ら生み出した感情に負けないように応援すること。感情を否定しないで、それを前を向く力にさせてあげること。
モモちゃんは感情を抑え込むことに慣れすぎて、無意識なネガティブさんになりそうだから――。
「モモちゃん、こっち見て」
「………」
そらされる顔。
ほら、引き籠っちゃった。
ならばあたしは、その謝絶された部屋のドアを、力の限りガンガン叩いてその名を呼ぶだけ。
お姉さんの執拗なまでに追いかけるバイタリティ、なめるなよ?
だてに淫魔じゃないから。
「おぉい、ゲテモノ好きのモモちゃん。息子さんはお元気ですかあ?」
モモちゃんのコメカミがひくりと反応する。
「大事な親友くんの唇の味はどうでしたか? 腐れた禁断キュッチュの感想をお聞かせ下さい~」
「……っ!!」
おお、ぴきんぴきんと青筋が。
「それともサバンナのお味がご所望でしょうか。もしやキッチュ以上がお望み? 帝王に"攻"と"受"どちらがお望みですか? きっと大きな息子さんを抱える帝王に攻められたら、ドーナツ型の座布団のお世話になるかと。逆に帝王に攻め込んでみますか、反撃覚悟で。どちらも血を見ますね~。くふふふふふ」
「……っ!!!?」
モモちゃん、なにを想像したのか、顔が真っ青だ。
よしよし、この調子。引き籠もり部屋のドアが少し開いたようだ。