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目が覚めたら。
第10章 変態王子様のご褒美
 

「ばきばきとものにもあたらないし。ナツはちゃんとモモちゃんをわかっているし、モモちゃんはナツを大事にしすぎて、ぐだぐだ考えすぎなんだって。そんなんだったら、今からEDになるよ?」

「な、ななな!!」


 今度は、真っ赤な顔でモモちゃんが飛び跳ねた。

 使っていなくてもEDは恐怖らしい。


 帝王、よくぞ耐えて克服した。



「前も言ったでしょう? 無理に押さえこまなくていいって。あたし忘れてやらないって。あたしは初恋の綺麗なお姉さんだもの、きゅんきゅんドキドキが止らなくても仕方がない」

「は、恥ずかしくないのか、自分のことを……っ」


 無視、無視、無視。



「恥ずかしいのは大衆の面前で演技することよ。相手が誰であろうと、公開羞恥プレイは割りきれるものじゃないわ。そこまであたし、恥知らずの悪女じゃないし。だけどやると決めたからはやるの。女は度胸。ガッツよ」


 力を込めた拳をさらに力を入れて体にぐっと引き寄せると、怪しいフード姿のナツも同じことを返した。

 
「わかるでしょう? "負けるな。しーちゃん、ガンバレ"。自分の羞恥よりもなによりも、あたしは約束を断行したいの。モモちゃんは?」

「俺は……」

「それでも演技は出来ないとか言っちゃう?」




 その時だった。


『あ、あん、あん、ああんっ、あああんっ』



 大音量にて聞こえて来た喘ぎ声。

 PAさんが操作でもしたのか。


 すっかり忘れていた破廉恥な舞台。

 ベッドに座った彼女のお股に、彼氏の頭が揺れている。


「ふおおおおおおっ!?」


 そこまでするか、しちゃうのか!?

 あれは公然猥褻罪ではないのか!?


 だけど反対者はいないらしく、ガン見状態で。

 期待されていたものだということはわかった。


 ありえない。

 ストップかけろよ、司会者!!


 にやにや司会者、揺れるゆ~ちゃん。

 アダルトナツだけが冷め切った顔で、欠伸をしている。

 あ、あれでも駄目ですか、ナツのそっくりさんにとっては…。


「……あんた、あれを超えるつもり? すごいな、女の度胸って」


 顔を引き攣らせていたあたしに向けられていたモモちゃんの顔は、あたしが腹立っていた、かつての……意地悪そうなあのくそメガネ顔だった。
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